【新刊案内】
<主に、中・高等学校教員対象>

☆髙島英幸 編著. 『英文法導入のための「フォーカス・オン・フォーム」アプローチ』 大修館書店. 2011年5月10日発売.


 髙島英幸 編著. 『英文法導入のための「フォーカス・オン・フォーム」アプローチ』 大修館書店. 2011年5月10日発売.

 日本の英語教育をめぐる状況は、今、変革の時を迎えている。平成23年度から小学校に外国語活動が導入され、平成24年度から中学校では週4時間英語の授業で「総合的」に英語力を伸長し、平成25年度からは、高等学校では原則として英語で授業を行い、「統合的」に英語を扱い授業をすることになっている。本書は、「総合的」「統合的」という概念を、文法説明から練習、発展的な言語活動という連続性を持った授業構成として具体的に提案している。新しい『学習指導要領』の施行にあたり、中学校・高等学校の教員にとって、指針のひとつとなるものである。

 本書では、第二言語の授業では広く用いられている、目標言語を学習者に使わせる中で誤りに対して文法に関するフィードバックを与えて説明を加える「フォーカス・オン・フォーム」という手法を、日本の英語学習の環境に応用している。この手法を言語活動(FonF活動)として授業に取り込み、文法指導でこの活動をサンドイッチする「フォーカス・オン・フォーム」アプローチ」は、新鮮である。また、現職の中等学校教員等による共著であるため、日本の学校教育の現状を踏まえ、文法説明から自由度の高い言語活動へと進めていく過程に欠かすことのできないプラクティス(練習)についても、文法説明と連動する形で提供している。

 文法説明については、二つ以上の文法構造を対比して提示し、この両者の区別が理解できるように、できるだけ英語を使って生徒とやり取りをする中で指導する例を、各文法項目について記載している。明日の授業から使えるアイディアが満載である。

 中学校と高等学校の英語の授業内容を、第2言語習得理論研究の視点から一貫した指導法として提案する本書は、理論に裏打ちされた実践を推進する、他に類を見ない好著である。本書は新しい試みを日本の英語教育の現場に示している。

 

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